LESSON 5

避難所運営で必要な知識

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4. 健康問題と災害関連死

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避難所生活は、水不足により脱水や口腔ケアがおろそかになります。高齢者は免疫力が低下し、呼吸器系疾患に陥りやすくなります。

基礎疾患がある被災者は、資源不足により平時に内服している薬剤が手に入らず、症状の悪化をまねくことは少なくありません。

季節にも体調が影響されやすく、夏場では脱水、冬場では低体温症が発生したりします。

安全が確保された避難所でも、余震により新たな二次被害に遭遇することもあります。その際には、傷病者が増加します。
 

災害発生後には、被災者はさまざまな健康問題が発生します。災害関連死とは、災害による直接の被害ではなく、避難途中や避難後に死亡した者の死因について、災害との因果関係があるものをいいます。復興庁公式HP/東日本大震災における震災関連死の死者数によると、東日本大震災では、2021年9月30日時点のデータで1都9県合計3,784人、災害関連死と時期のデータを見てみると、もっとも災害関連死が多く見られた時期は発生後1ヶ月以内で745人、次いで多いのが3ヶ月以内で683人となっています。災害直近の1週間以内の時期では473人と比較的少ないデータとなっています。熊本地震では、熊本県庁公式HP/平成28(2016)年熊本地震等に係る被害状況について【第321報】では、223人の死因は避難生活中の心身の不調や負担となった災害関連死とされています。避難所生活は、水不足により脱水や、口腔ケアがおろそかになります。高齢者は免疫力が低下し、呼吸器系疾患に陥りやすくなります。季節によっては、インフルエンザを代表とする呼吸器感染症があります。断水で水が無くなり、水洗トイレが使えなくなって「劣悪なトイレ環境」に陥ります。そうなることで、トイレに行きたくないと「排泄回数を減らす」ために「水分摂取を控える」人が出始め、「脱水症状」を引き起こします。 その結果、「口腔内(口の中)の細菌」が増えて、それが原因で「誤えん性肺炎」を引き起こしやすい状態になります。
当然、暑い中で生活すれば熱中症や、熱中症を起因とするくも膜下出血なども生じます。そして、余震によって負傷するケースも少なくありません。皆さんは、ここまででも、学生としてもできることはありますか?どのようなことができるでしょうか。

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災害後には、少なからず粉塵が大気中に舞うことが多く、呼吸器系異常を来さないようマスク着用などの配慮が必要になります。

インフルエンザ流行時期や昨今の新興感染症が発生すると、感染はいつの間にか拡大します。そのため、手洗いやうがいを行えるような環境を整える必要があります。

支援物資が届いても、一定の種類が届くことが多く、栄養の偏りが発生します。その結果、栄養状態悪化や糖尿病のような基礎疾患がある方は、高血糖や低血糖を招きます。
 

写真を見てください。避難所にあるゴミの山です。感染リスクが高いことは理解できると思います。季節性のインフルエンザについては述べましたが、東日本大震災の際には季節が冬であったこともあり、地震の被害に加え大津波、その後の寒さ、粉塵による大気汚染が加わり呼吸器疾患の入院が増えたと言われる、高齢者肺炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の増悪、気管支喘息発作など、主な疾患がありました。災害時には断水により手指の流水洗浄ができず、また、避難所など密集した環境下での集団生活等により、ノロウイルス等による感染性胃腸炎やインフルエンザなどの感染が拡大するリスクが高まります。「偏った食事」や避難所での「雑魚寝」も要因のひとつです。「栄養不足や偏り」が起きることで「高血圧」が進行する人が増え、「循環器系疾患」につながりやすい。「雑魚寝」をすれば、床で寝る「ストレス」を受けて「睡眠不足」に陥る。その結果「体力や免疫力が低下」します。このように、医療の限界が見えましたね。医療があっても資源がない。また逆に資源があっても医療がない。それが災害です。さあ、ここで復習です。まず、CSCAです。皆さんにもできることは多くあります。考えてみましょう。

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過去の災害時には、避難生活を送ることができず、車内泊することで、深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)を引き起こし、水分不足も加わり、最悪の場合血栓が生じて心停止することもあります。

避難所生活が長期化すると、生活する場が限定されてくるため、特に高齢者は運動不足になりがちで、生活不活発病発生のリスクが高くなります。

要配慮者である、慢性疾患、特に透析している被災者は水不足で腎機能が悪化します。

妊婦さん、乳幼児が健康に過ごす環境、精神疾患がある方以外にも、災害後は「こころのケア」が必要です。
 

先ほど述べたように、トイレに行きたくないと「排泄回数を減らす」ために「水分摂取を控える」人が出始め、「脱水症状」を引き起こすとお話ししました。これに加えて、ラピッドアセスメントシートに記載してもらった、車中の被災者の人は何人でしたか???エコノミークラス症候群という疾患を講義で履修したと思います。実際、新潟県中越地震後では車中泊された方の内、約3割が発症していたことがわかっており、肺塞栓症を発症される方が多くおられました。そして、この問題と関連しているのが、避難所生活が長期化すると、生活する場が限定されてくるため、特に高齢者は運動不足になりがちで、生活不活発病発生のリスクが高くなることです。このLESSONで学修した、要配慮者のケアも重要です。要配慮者については、さきほど紹介した高知県が作成した、「要配慮者の特性に応じた、避難所における要配慮者支援ガイド」を熟読してみてください。ここまででも、皆さんが支援者としてできることは見えてきましたね。基礎看護技術を基本に考えてみてください。

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災害の後には、今まで述べた基礎疾患、慢性疾患、生活環境の変化で症状が悪化したり、ストレスが原因でなくなってしまう「災害関連死」が発生することがあります。

阪神淡路大震災、東日本大震災、熊本地震では、災害関連死と認定された被災者も多くいます。

災害関連死を防ぐには、ボランティアとして活動する、看護学生さんの力が必要です。

看護学生の皆さんは、履修した生活援助が提供することが可能です。災害という特殊な環境でも、ボランティアの方々と協働して活動することで、被災者のお力になれます。
 


 
 

 
 

最後にまとめます。災害の後には、今まで述べた基礎疾患、慢性疾患、生活環境の変化で症状が悪化したり、ストレスが原因で亡くなってしまう、「災害関連死」が発生することがあります。救えるはずのいのちが目の前にいらっしゃいます。それは、学生の皆さん自身やまわりの大切な人の命かもしれません。災害看護学の講義そしてこのLESSONで学修したことは、避難生活における被災者の健康維持に、重要な役割を果たします。被災地で適切な看護ケアを行うためには、基礎知識を正しく身につけることが重要です。今回のLESSONでは講義の内容より、さらに進めました。しかし、災害看護学は学ぶ内容が多くあります。学びをやめないこと、災害時にはボランティアとして活動する、看護学生さんの力が必要です。そして、看護師となっても、被災者の方は皆さんを待っています。写真は皆さんの先輩が、南三陸でのボランティア活動を行ったときの様子です。